幼い頃から、親や兄弟からきちんと掃除を教わった人は少数派で、掃除を学ぶ機会がほとんどなかった人が多いのではないでしょうか?学ぶ機会がなかったから、掃除ができない、やる気になれないというのは当然のこと。
今回は、「毎日の掃除習慣」シリーズの最後に、改めて「自分にとっての理想の住まい」とは何かを知り、掃除を学ぶ実践的な方法についてもご紹介していきます。掃除ができない理由を探すよりも、本当に望む暮らしのために、今からできることは何か?を考えるヒントになれば幸いです。
掃除を学ぶ機会はほとんどない
私たちが掃除を学ぶ機会は、主に小学生の頃、母親から教わることに限られていたように思います。小中学校でも「掃除の時間」がありましたが、自宅を掃除するのとは違って、みんなで手分けして教室や廊下を義務的に掃除していた記憶があります。実家で客商売などの家業をされていた場合は、幼い頃から掃除や片づけを手伝っていた人もいるかもしれませんが、少数派だと思います。つまり、「子供の掃除スキル≒母親の掃除スキル」とも言えます。
家庭環境によっては、ネグレクト、ゴミ屋敷、親が掃除できないといった理由で、幼い頃から乱雑で不衛生な環境で育った人もいます。子供にとってはそれが当たり前の状態で、当然親から掃除を教えてもらう機会もなかったと思います。友人や周りの人たちの住まいが、綺麗に整理整頓されていることに衝撃を受けるまでは、自宅が非常事態であると認識はできないのです。
親、特に母親が綺麗好きで掃除をするかどうか、家が片づいていたかどうかによって、子供の掃除スキルは大きく影響を受けてしまう。それは子供自身が選べることではありません。子供が次第に成長し、多様な価値観に触れ、自分で環境を選べるようになって初めて「綺麗な家で暮らしたい」という選択が可能になります。大人になった私たちには、今その選択の自由があります。綺麗な家で理想の暮らしをたいと思ったときから、新しい価値観を取り入れ、掃除を学び、実践することができます。
自分にとっての「理想の暮らし」とは何か
綺麗な家で理想の暮らしをする、というのは具体的にどんなものでしょうか?私にとっての理想の暮らしとは、リラックスできる清潔な空間で、夫と互いに好きなことをして過ごし、穏やかに暮らすことです。それだけで十分です。そのために、毎日掃除や整理整頓をしています。
フルタイムで夫婦共働きをしていた頃、私は掃除や料理の時間が十分に取れないことに、とてもストレスを感じていました。片道1時間以上かけて通勤し、ヘトヘトになって帰宅し、そこから掃除がスタートします。料理や掃除は一応すべて夫と分担していましたが、「もっとこうしたいのに時間が足りない」という不満が少しずつ溜まっていました。すべてを完璧にしたい、という願望もあったかもしれません。
ある時、私は体を壊し、療養生活を経た末に会社を退職しました。仕事を辞めて、心身を静かに休めることができたとき、初めてとても深い心地いい幸せを感じました。これまで毎日働き続けてきた人生前半を、ふと振り返る瞬間でした。これからの生活について考えると不安もありましたが、まずは今こそ心身を休めて自分をケアしよう、そう考えました。
どんな内容であれ、その時自分が本当に望むことは、意図するしないに関わらず実現されていくのだと感じています。自分は本当はどんな暮らしがしたいのか、じっくり時間を取って想像してみてください。他人軸ではない本音を感じたときに、それを叶えるきっかけに出会えると思います。
掃除を学ぶ意外な方法
どんな環境で育ったにせよ、どんな理想的な住まいを目指すにせよ、「綺麗で清潔な住まい」を作るためには掃除は必要不可欠です。現在では、掃除や片づけについて、いろんなやり方や資格もあります。唯一絶対の正解というものはなくても、基本的で適切な洗剤・用具・方法というものはおおよそ統一されています。このブログで紹介した「毎日の掃除習慣」①~⑨の記事を毎日コツコツ実践することで、あくまで一例ではありますが、徐々に掃除が習慣化されていくと思います。
「基本の掃除方法は分かったけど、イマイチやる気が出ない」という方に向けて、おすすめの実践的掃除勉強法をご紹介します。掃除をやりたいかどうかに関わらず、まずは他の楽しみと共存させながら半強制的にやってみて、体で感じて覚えていく方法です。
それは、毎日時間をかけて綺麗に掃除をしている人のもとで同じことをすること。先人達のもとで見て真似て、学ぶ方法です。例えば、お寺、神社、ホテル、民宿、寮などで仕事をしてみるのです。お金を払って高額なスクールに通わなくても、仕事としてお給料をいただきながらパートや派遣スタッフとして、あるいはボランティアとして無給で学ぶこともできます。
具体的な方法としては、例えば半年間、どこかの宿に住み込みで働いてみることをおススメします。あるいは、通勤できる範囲でお掃除メインのスポットバイトを探してみましょう。今は、中高年者の方々が旅と仕事を満喫するリゾートバイトが人気だそうです。知らない土地を旅しながら、その土地で仕事もする。遊びながら働く、実に楽しい経験です。
私も昔、リゾートバイトで民宿や旅館で仕事をしていた頃、毎日館内じゅうの掃除をしていました。「こんなところまで?!」と思いながら、毎日隅々まで綺麗に仕上げました。大きなホテルよりも小さな宿の方が、自宅により近い構造になっているので、掃除の実践的なスキルが身につくと思います。
意外なご縁で、移住を決意するなんていうこともあるかもしれません。それもまた、おもしろい人生です。
掃除習慣がなかった人が、いきなり掃除の達人にはなれません。他人と比べる必要はまったくないのです。毎日コツコツと習慣化していくことで、気が付けば「ほとんど汚れない、散らからない」状態になっているはずです。「終活」などという言葉を使わなくても、生きている今こそ楽しみながら、快適な暮らしを実践しましょう。
身近な人に掃除を教える
最後に、学び覚えた掃除を、ぜひ身近な人たちにも教えてあげてください。教えるといっても、小さなアドバイスやサポートでも構いません。「こうすると綺麗になるよ」と、一緒に掃除をしてあげてください。掃除は自分自身のためであることを、親、兄弟、夫婦、子ども、親戚、友人、同僚、後輩、先輩、いろんな人たちに伝えて広めていくことで、「親から教わらなかった」という人たちも掃除ができるようになるかもしれません。
自分の部屋・家、周りの人たちの部屋・家、地域、社会、日本全体に、綺麗で快適で心地いい空間が広がりますように。ぜひ、一緒に掃除を広げていきましょう。