スッキリ綺麗な家で暮らしたいのに片づかない、掃除も行き届かない。いろんな情報を調べて試してみても、数日経てば元通り。SNSや広告で見かけるキラキラした他人の暮らしと比較して、「自分はだらしない人間だ」と自信を失う。そんな状態から抜け出せず、鬱々としている方もいると思います。
見なければいいのですが、ついつい見てしまいますよね。
今回は、つい他人と自分を比較して落ち込んでしまう方に向けて、「掃除ができない、片づけられない本質的な原因」を探る方法についてお伝えします。ぜひ一人の静かな時間に、最後まで読んで自分を理解するヒントにしてみてください。
※すべての人に発達や性格の凸凹(個性)があるのは当然だと考えているので、私は敢えて発達障害という視点は使わずに考察しています。
ダイエットと掃除・片づけの共通点
女性の方なら、人生で一度はダイエットを経験したことがある方が多いと思います。私も10代の頃から現在に至るまでの間に、数えきれないほどのダイエットと失敗を繰り返してきました。ようやくリバウンドをしない生活習慣を確立できた頃、ふとこんな共通点に気がつきました。
<掃除や片づけができない原因>
・時間が足りない
・モノが多い
・やる気が出ない
・やり方がわからない
<ダイエットに挫折したりリバウンドする原因>
・運動が続かない、運動する時間が足りない
・食欲が止まらない
・揚げ物や甘い物がやめられない
・自分に合った方法が分からない
これらはいずれも、根本的な原因の表面に現われたごく一部の現象であって、どうやら本質的な原因とは言い切れない。今まで出会った人で、いつも家を綺麗にしている人は、スタイルも良く美しい人(美人かどうかではなく、清潔感があってお手入れされているという状態)が多いということも無関係ではなさそうです。
私が今まで出会った「掃除・片づけができない」と悩む人の共通点は、
・今ここに魂がない状態(気を抜くと過去や妄想の世界に浸りがちで、今ここではないどこかに居る状態)
・衝動買いが多く、承認欲求を満たすための持ち物が多い
という点でした。
自分の中で、何か未解決の課題を抱えていながら、まだそれに真っ向から向き合えていない、取り組めていない。だから住まいを整える余裕も無く、モノやお金や社会的評価にすり替えて、自分を満たそうとする。私自身もそういった状態で長年苦しんだ時期があったので、とてもよくわかります。
もし、掃除や片づけができないことが、生きづらさの原因の1つになっているのであれば、具体的な解決方法を探す前にまず自分を理解することが重要です。痩せない本当の原因を無視して、いくらカロリー制限やハードな運動をしても、すぐにリバウンドしてしまうのと同じことです。
数か月、時には数年以上の時間をかけてじっくり自分と向き合い、自己理解や学びを続けることが大切です。自分の本質的な課題を知り、乗り越えた先にようやくひとつの結果として、「自然に片づけられる、掃除ができる」「自然にベストな体型を維持できる」という状態(習慣がもたらす結果)に辿り着くことができます。自己理解や自分の課題を無視して表面的なスキルを習得しても、何度も同じところでつまづいてしまいます。
掃除や片づけができない原因を深掘りする7つの視点
掃除や片づけができない本質的な原因を知るために、まずはとことん自分自身と向き合い、理解し、出来事や感情について共感してあげる必要があります。自分以上に、自分の幸せを願う人は他にいません。すぐに結果や変化を求めず、自分自身の一番の理解者としてじっくり取り組みます。
掃除や片づけを自然に難なくできるようになりたいと思っているのであれば、「今までできなかった・苦手だった・やらなかった・やったていたけど辞めてしまった原因」を深掘りする必要があります。
ここで重要なポイントは、以下の2つです。
①主語を「私(自分)」にすること
②すぐに解決策を考えないこと
問題の本質に辿り着くためには、常に「私は」という主語で考えます。「あの人が」と他者を主語にせず、「私は、●●が嫌だった」「私は、●●が欲しかった」といったように、自分を主語にして捉えます。
掃除や片づけが続かない原因を探るヒントとして、7つの視点を挙げました。各項目の質問について、YES・NOだけではなく「それはなぜ?」と1段、さらにもう1段と掘り下げて考えてみてください。
①入ってくる情報量・モノの総量が多すぎる
●四六時中スマホを手放せませんか?毎日SNSの新しい情報を大量に取り込んでいますか?
●大量の情報から何を学び、何を身につけましたか?自分を成長させることができましたか?
●情報やモノを得たことで、どんな幸せや満足感を感じましたか?その幸せを他者にも教えたいと感じますか?
それはなぜでしょうか?
②熟考せずに衝動買いする
●どんな時に、どんなモノを衝動買いをしますか?いつから物欲が止まらないですか?
●目の前のモノを手に入れることで、何を満たしたいですか?幸福感?安心感?他人からの承認ですか?
●買ったモノを大事にして、最後まで使い果たしていますか?すぐに飽きてしまいますか?
それはなぜでしょうか?
③空間認識がしづらい
●自宅の1室で、目に入るモノをすべて書き出してみてください。例)照明、壁紙、エアコン、扉、スイッチ、コップ、パソコン、マウス、ペン、充電器、携帯、床などすべて
●上記の中で、普段は目に留まらなかったモノはありましたか?いつ頃から目に留まらなくなりましたか?
●住まいの大体の床面積、天井の高さ、収納の広さ(何畳くらいか)を把握していますか?
それはなぜでしょうか?
④具体的な方法を教わらなかった
●子どもの頃、家庭や学校で、掃除や片づけ(収納方法)の具体的な方法を教わりましたか?
●掃除や片づけの方法について調べたことはありますか?実際の生活に取り入れましたか?
●調べた掃除片付け方法や、自分で考えた方法で、今もそれを実践していますか?
それはなぜでしょうか?
⑤不衛生な環境で育った
●子どもの頃、家の中はどんな状態でしたか?モノが散らかっていましたか?掃除が行き届いていましたか?
●今の住まいは、子どもの頃育った環境と同じですか?違いますか?共通点はありますか?
●今の住まいの状態は、快適で心地いいですか?リラックスできますか?今後もこの状態を維持したいですか?
それはなぜでしょうか?
⑥一人ですべて完璧にしようとしている
●いつ頃から、掃除や片づけができなくなりましたか?きっかけとなる出来事はありましたか?
●家族の中で、掃除や片づけのルール、役割分担を決めて共有していますか?
●家族の中で、誰が掃除や片づけをすることが多いですか?それはいつ頃からですか?その現状に、自分を含めて家族全員が理解・納得していますか?
それはなぜでしょうか?
⑦住まいに手をかけられない、大事にできない
●掃除、片づけ、住まいのお手入れをする時間がもったいないと感じますか?
●家は寝るだけの場所だと感じますか?それはいつ頃からですか?
●どんな住まいが理想的ですか?
それはなぜでしょうか?
とことん自分と向き合う
これらの質問の回答は、必ずしもすぐに「掃除や片づけをしたいのにできない原因」と直結するわけではありません。問いに対する今の自分の答えをもとに、「本当は自分はどうしたいのか、どんな状態になりたいのか、何が辛いのか、何が満たされていないのか」をじっくり感じてみます。ここでも、主語を「私(自分)」にして捉えることが重要です。
「親がもっと●●だったら」「夫がもっと●●してくれたら」「子どもがちゃんと●●になれば」「会社がもっと●●だったら」といった視点は、原因の解決を他者に求めるものです。今の自分にコントロールできることは何か?という視点で取り組むことで、初めて現実が具体的に変わり始めます。
「私は、夫に食後の食器洗いをしてほしい」
「私は、ゆっくり入浴する時間がほしい」
「私は、夫からねぎらいの言葉をかけてしてほしい」
「私は、毎日7時間は寝たい」
「私は、もっと家の近所で仕事がしたい」
「私は、休日に家族で出かけていろんな経験がしたい」
「私は、もっと一人の時間を大事にしたい」
「私は、何が原因か分からないが生きづらい」
このように明確な言葉で、今すぐ実行できるかどうかは別にして、今の自分の本心を書き出してみます。腹落ちしていない過去の出来事・感情を感じたときは、蓋をせずノートに書き出したり、メモアプリを使って整理して、しっかりと感じてみましょう。不快、悲しみ、憎しみ、怒りを感じることもあるかもしれません。
もし、今までの人生が「掃除どころではなかった」のであれば、そんな人生を生き抜いてきた自分自身を、まずは自分が受け入れてあげてください。状況によっては、専門家や医療のサポートを求めることが最適な場合もあります。
1日24時間、今自分がどんなふうに時間を使っているかを把握するために、円グラフに書いて可視化する方法もあります。その中でも、①食事・睡眠・運動時間、②家事時間(掃除、片づけ、洗濯、料理、買物等)、③仕事時間(メイクヘア準備、通勤移動往復、勤務時間)、④趣味・遊びなど、主要な項目がそれぞれ24時間のうちどれ位の割合かを把握することは、今の生活を客観視するヒントになります。
日常生活の中で、もっと時間を使いたいと思う活動は何か、もっと削りたいと思う活動は何か、思うまま自由に書き出してみてください。できない理由や現実的な状況は一旦横に置いて、ご自身がしたいと思うかどうかだけで考えてみましょう。
いろいろ深掘りした結果、やはり掃除や片づけはできる限りしたくない、という結論に至ることもあると思います。この場合、時短家電を導入したり、経済的なゆとりがあれば家事代行サービスを利用するという選択肢もあります。実際、経営者の多くが家事代行サービスを利用されています。自分の家は自分でお手入れしたいというこだわりが無ければ、共働き世帯には便利なサービスだと思います。
また、家事をリストアップし、内容や性質に応じて、夫や子どもと分担について話し合うという選択肢も考えられます。食事を準備したり、住まいを整えるという活動は、妻がやるのが当たり前ではありません。誰もが生きていく上で必要な活動です。本来、自分のことは自分でやるという前提で、家族というチームでどう役割分担をするかという視点で考えてみてください。話し方、聞き方、いろんなことを試行錯誤しながら、家族の関係を深めるきっかけにもなります。
毎日の掃除習慣に関する記事一覧:毎日の掃除習慣
ワンポイントアドバイス
綺麗な家で暮らすこと、健康的でスリムな体型でいること、どちらにも目的や理由は必要ありません。
「ただこうしたい、こうありたい」という動機だけで十分です。
他者評価ではなく、良い意味で自己満足の人生を謳歌していきましょう。