【引越経験12回】物件選びで重要なポイント5選

引っ越し

今回は、「引っ越ししたいけど、何から始めたらいいかわからない」「引っ越しすることは決まったけど、物件選びはこれから」という人のために、引っ越し経験12回の管理人が、実体験をもとに物件選びで重要なポイント5選をお伝えします。

引っ越しの各段階ごとの具体的なポイントもたくさんありますが、今回は「引っ越し総論」についてのお話です。引っ越し経験が少ない人、物件選びに自信がない人は、今回の記事を参考にしてみてください。



引っ越し理由・価値観と優先順位

一番最初の重要なポイントは「何のために、なぜ引っ越しをするのか(したいのか)」という引っ越しの理由を改めて確認することです。引っ越し理由の多くは、①やむを得ない理由、②現状に対する不満解消のいずれかです。例えば、転勤、転職、進学、結婚、親との同居、別居、経済状況の変化、隣人トラブル、間取り、家賃、周辺環境への不満、通勤距離などがあります。引っ越し理由がブレてしまうと、物件選びの方向性を見失う可能性があります。

次に「今回の引っ越しでは、自分にとって何が大事か」をリストアップします。引っ越し初心者も経験者も、「今回の引っ越し理由の解消」と「住まいについての大事な価値観」は毎回変化します。今の価値観に優先順位をつけておくことで、目的(快適な住まいへの引っ越し)がブレにくくなります。例えば、家賃(売買価格)、広さ、間取り、階数、住宅設備、駐車場、24時間ゴミ出しOK、エリア、周辺環境、駅からの距離、勤務先からの通勤時間、病院の近く、学校区等があります。

価値観に順位をつけて、「これだけは譲れない」というポイントを明確にしておくことで、物件探しの途中で迷いが生じたときに立ち戻ることができます。明確な軸があれば、仲介業者から提供される情報量や質、サポート力にも良い影響を与えます。

実際には、すべて希望どおりの理想の物件に出会えることは稀で、価値観と物件(現実)のバランスによって、多少の妥協をしながら決定することが多いです。例えば、「駅徒歩5分以内の希望だったけど、自転車もあるし、この物件なら徒歩15分でもいい」「職場からは少し遠いけど、駅から近く自然豊かで静かだ」という選択肢もあります。

これまででもっとも後悔した引っ越し経験は、①安すぎる物件、②身の丈に合わない見栄で選んだ物件でした。



安心・安全

引っ越し理由と優先順位が決まったら、次に重視すべきポイントは「安心・安全」面の確認です。昨今の豪雨、地震、津波などの自然災害、賃貸・住民トラブル、犯罪への懸念は、住まい選びの際に外せない重要なポイントです。

もし、転勤や進学を理由に転居するためエリアが絞られている場合でも、事前にわかる範囲で様々なリスクが少ないエリアや物件を選ぶために、以下の4点を確認しましょう。

①土地(地盤、災害危険区域、液状化)

どんな土地の上に建物が建っているかによって、災害時の被害が大きく変わる可能性があります。水災、土砂災害、液状化リスクについては、市区町村のハザードマップで確認することができます。活断層については、活断層データベース(産業技術総合研究所)で確認できます。

一般的に、物件の近くに河川、池、沼、谷、海、山などがある場合、液状化や自然災害リスクが高いことが多いです。地盤の性質を知る手がかりとして、地名に「水」を連想させる漢字が多く使われていることが特徴の1つです。

大災害はどこの地域でも起こりうることですが、予想される被害が大きいとされる地域については、事前にしっかり認識しておく必要があります。例えば「自然や海が好きだから、海の近くに住みたい」といった理由で引っ越しをする場合、これらのリスクをしっかり理解した上で住むかどうかを判断します。

②建物(構造、耐震基準、ピロティー)

建物の情報については、物件情報サイトに掲載された「構造」「建築年」「外観写真」、Googleマップのストリートビューから確認できます。自宅の近所であれば、建物の外観を実際に見に行くのが確実です。

住宅の構造については、一般的にSRC(鉄骨鉄筋コンクリート造)→RC(鉄筋コンクリート造)→S(鉄骨造)→木造があり、築年数や建て方にもよりますが、SRCがもっとも頑丈で防音性も高いです。戸建ての多くは木造で、マンションの賃貸物件ではRCやS構造、分譲物件ではRCやSRC構造(高層階マンション)が多いです。生活音に敏感な人は、RC又はSRC構造のマンションを選ぶと安心です。

建築年については、1981年6月以降に着工された建物(新耐震基準)を満たしているかどうか、満たしていない場合耐震補強工事が完了しているかどうかを確認しましょう。着工年月が不明な場合、1983年頃以降に完成した建物かどうかを1つの目安にします。

マンションの場合、1階部分が柱だけで支えられ、壁が無く空洞になっている構造(ピロティ)は、そうでない建物に比べると耐震性に不安があり、大災害の時に大きな被害を受けやすい可能性があります。1階がピロティの場合は、耐震補強がされているかどうかを確認しましょう。

③貸主・管理会社

賃貸の場合、気に入った物件の貸主・管理会社の信頼性について、できる限り事前に調べてみることをおススメします。気に入った物件があった場合、仲介業者に管理会社名を確認すれば教えてくれることがほとんどです。信頼できる管理会社を選びたいという意思を伝えれば、仲介業者の担当者が知っている情報を教えてくれることも多いです。インターネットでも、管理会社の口コミは多数掲載されています。すべてを鵜呑みにはしませんが、ある程度「避けた方がいい会社」は見えてきます。

貸主・管理会社の信頼性が重要だと実感する場面は、契約前ではなく入居後~解約時の対応です。特に、不具合や緊急時、解約・明渡し時の対応については、評判や口コミを確認する等して注意が必要です。

昔の実体験を例にすると、①インターホンやオートロックが故障しているのに「オーナーから決裁が出ない」という理由で、半年以上放置された、②物件の明渡し後に正当な理由なく敷金が返還されない、③借りる前からついていた傷についての責任を借主に負わせようとした、というケースも昔ありました。

最初からついていた傷かどうかを立証するのは本来貸主側の責任で、貸主側が証拠写真等を残しておく必要があります。しかし実際には、借主側が証拠写真を撮っておかないと、借主側の無知を逆手に取って言いくるめられてしまうことがあります。

大事な視点は「いざというとき誠実に対応してくれるか」に尽きます。状況や担当者によっても対応は変わるので一概には判断できませんが、大企業・有名企業だからという理由だけで信用せず、管理会社の体質やオーナーの人柄を可能な限り知っておくことは重要です。

気に入った物件が見つかった時には、つい気持ちが浮ついて契約を急いでしまうため注意が必要です。仲介業者から「すぐに決まってしまう人気物件ですよ」などと言われても、「不具合が生じた時」「解約の時」を想定し、冷静に見極めましょう。

④セキュリティ

前提として、どれだけセキュリティがしっかりしている建物でも、狙われるときは狙われます。侵入窃盗の多くは「無施錠」の扉からの侵入です。最低限、普段から在宅中・外出中を問わず常に施錠することが防犯対策の基本です。すべての扉の鍵が壊れていないか、複製しやすいシリンダーキーではなくディンプルキーかどうか等を確認しましょう。

オートロックやホームセキュリティの設備や監視カメラ、24時間対応の非常通報ボタン等があれば、それらが無い物件よりはセキュリティ機能が向上すると言えます。ただし、物件情報に「監視カメラあり、オートロックあり」と記載されていても、カメラがダミーカメラであったり、オートロックがあっても裏出入口が無施錠であったり、実際は機能していないものもあるので現地確認が必要です。

ひったくりや窃盗事件が多いエリア、人目につきにくく外部から侵入しやすい立地や構造の物件は、できるだけ選択肢から外した方が安心です。以前、長年同じ地域に住んでい住民の方から、「何かあったらお向かいさんが見てくれているから安心」といったことを聞いたことがありますが、お向かいさんは24時間見守ってくれるわけではありません。犯罪は、計画的に下見をし、わずか数分の間に実行されます。どれだけご近所付き合いがしっかりしていても、「防犯上の安心」とは分けて考えるべきだと思います。



直感

気に入った物件があれば、管理会社の情報を確認しながら、実際に内見します。物件との相性を判断するときに大事なことが直感です。

マンションであれば、まずエントランスに入った瞬間の感覚が大事です。極端に安い家賃の物件を選ぶと、チラシやゴミが散乱している、駐輪場が乱雑、掲示板に住民トラブルの警告が貼られている等、懸念要素が多い傾向にあります。昔、受験生時代に住んでいた古くて安いマンションでは、ゴミの不法投棄や、隣人の騒音に悩まされて勉強中ずっと耳栓をしていたという苦い思い出があります。

私は、部屋に入った瞬間の雰囲気、ニオイ、湿度を直感的に重視しています。独特な臭いや湿気、何となく閉塞感があって暗い部屋は、どれだけ他の条件が良くてもNGです。住んだ後から自力で改善できる可能性が極めて低いからです。ベランダに出るとタバコのニオイがしたり、至近距離に建物が建っていて閉塞感があったりすると、住んでいるうちに心身へのストレスが大きくなるのは想像できます。

ちなみに、タバコがNGな人には「禁煙マンション」も存在するので、レアな物件を探してもるのもいいと思います。

これまでの経験上、ある程度の家賃以上であれば、いろんな不安要素は少なくなるというのは、おおむね正解です。中でもおススメは「分譲賃貸マンション」です。一般賃貸用マンションとは異なり、分譲マンションの住民のほとんどは所有者とその家族なので、住民の入れ替わりが少なく平穏で友好的な雰囲気が特徴です。マナーや挨拶などもきちんとされている人が多いです。築年数が幅広く2DK~3LDK位のファミリー層向け物件が多いです。

一般賃貸物件であっても、物件のグレードが上がるほど無用なトラブルが減るのは実感しています。予算と現実との兼ね合いになりますが、実際に住んでみて失敗を重ねながら、自分なりの妥協点を見つけていくしかありません。経済的に自立していくと、どんな物件でも「あの頃あんな家に住んでたな・・」と良い思い出になります。自由に快適な住まいを選べるようになると、そういった感慨深い喜びを感じられると思います。


快適さ

物件の中に入ったら、間取、生活動線、収納、設備、音、日当たり、風通しを確認します。物件情報データだけでは確認できない、生活のリアルがここで分かります。

おしゃれなデザインや雰囲気に惑わされず、すべての扉・窓を開けて、実際の生活動線をイメージします。荷物量、家具家電のサイズ・置く位置、ベランダからの眺望、風通し、隣や上階からの音、設備(水圧、窓の開閉、換気扇)など順番にチェックします。

収納が充実していると、手持ちの収納家具を処分して、より身軽に引っ越しができるかもしれません。古いマンションだと、シャワーの水圧が弱いという物件もあります。私は虫が苦手なので、ベランダや共用部に虫が居ないかを必ずチェックします。

これらを総合的に見て、最初に明確にした「価値観と優先順位」に立ち戻り、自分にとっては何が大事かを軸に検討します。ここで譲れるポイントが出てきたり、逆に絶対譲れないポイントが明らかになることもあります。そういった発見も、物件選びの楽しみの1つです。



好きな町

物件の目星がついたら、最後に物件周辺の町を実際に歩いてみることで、生活施設(コンビニ、スーパー、ドラッグストア、駅など)、自然、住民の雰囲気等を体感します。実際にそのエリアで生活しているイメージが湧くか、なんとなく良いなと感じるかを肌で確認します。

例えば、「毎晩ウォーキングをしたい」「週末は家族と一緒に近所の公園で遊びたい」「夜遅くでも立ち寄れるコンビニがほしい」「とにかく自宅では静かに過ごしたい」など、具体的なニーズを満たしてくれる環境かどうかは大事です。

毎日の食材にこだわりたいのに、近所に良質なスーパーが無ければ不便かもしれません。駅近の便利な立地であれば、繁華街や店舗が多く、夜遅くまで騒音や灯りが気になることもあります。どんなお店が並んでいるかも確認しましょう。

以上、事前に100%わかることはありませんが、最低限これらのポイントを確認しておくことで、より自分のニーズに合った快適な物件を選べるようになります。転居後の不満・不安要素を、少しでも減らすことができると思います。ぜひ参考にしてみてくださいね。



ワンポイントアドバイス

「ここに住みたい!」という物件が決まったら、入居前に必ず物件のすべてを写真・動画に残しておきましょう。撮影に時間がかかっても構いません。汚れや傷がついていない場所はもちろん、収納の中のシミ、洗面台の小傷、玄関扉の凹み、網戸の欠損、どんな小さな傷や汚れもすべて漏れなく写真と動画に残すことで、退去時の無用なトラブルを防ぐことにつながります。

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