換気で家じゅうの空気を新しくする

基本の掃除習慣

湿気やカビが気になる梅雨の時期、住まいにとってとても大事な「換気」。昨今では特に換気による感染症対策も浸透してきました。毎日しっかり換気をしている人はもちろん、普段あまり意識していなかった人も、この時期に換気習慣を見直してみませんか?

家の湿気やニオイ、ホコリが気になる、家の空気が重たい、体調がすぐれないという方は、家の換気不足が原因かもしれません。

毎日の習慣に換気をプラスすることで、クリーンな空気に包まれた住空間を作り、住む人にとって居心地いい快適な空間になります。

今すぐにできる換気の具体的な方法を6つご紹介するので、参考になりそうなものがあれば1つずつ試してみてください。



換気は住まいの「呼吸」

換気は、住まいとそこに住む人にとって、もっとも基本的で重要な「呼吸」のようなもの。換気をしなければ、住まいと住む人の健全な機能を徐々に低下させしまうからです。

換気を毎日の習慣にすると住空間の代謝を促し、そこに住む人たちにとっても、毎日新鮮な空気を体内に取り込むことで心身が活性化します。

小さなお子さんや動物がいるご家庭、ひとり暮らしでも、十分な換気で住まいをリラックス空間にするために、掃除習慣の大前提「換気習慣」を身につけましょう。


換気が重要な理由

最近の家は気密性が高く、昔の家のように隙間風が入ることもなくなりました。都会や住宅密集地域に住んでいれば、周辺の建物が風の通りを遮ることもよくあります。

特にマンションは、コンクリート造で気密性が非常に高く、換気システムを使うか小まめに換気をしないと、空気が循環しづらい構造になっています。

換気が不十分だと、住まいや私たち自身にどんな影響が出るのでしょうか?


換気をしないとどうなるのか

①家への影響

家への影響として、下記のような例が挙げられます。

  • 湿気がこもりカビが発生しやすくなる(特に水回り、シンクや洗面台の下、壁紙や木製品)
  • ホコリや花粉、汚染物質が空気中に停滞し、壁紙や家具に付着し蓄積する
  • カビ、ホコリ、水垢、タバコ、料理、外から入る排気ガスなどが混ざり独特のニオイが発生し、壁紙や家具、衣類などに染みついて通常の掃除では取れなくなる


②人への影響

人への影響として、下記のような例が挙げられます(※個人差があります)

  • 空気中の汚染物質やハウスダスト(花粉、フケ、ダニの死骸、動物の毛など)による、肌のかゆみや炎症、呼吸器の異常(重篤な場合、気管支喘息やアレルギー症状を発症する)
  • 室内の二酸化炭素濃度上昇による集中力低下、頭痛、めまい
  • ダニ刺され、ゴキブリの発生増殖
  • 慢性的な気分の落ち込み


自宅の湿度やニオイには気づきにくい

家の湿度やニオイは、住んでいる人よりも他人の方が敏感に気づくことがあります。以前、仕事で出会ったお客さんのケースを2つご紹介します。

ケース①:時が止まった家(60代男性一人暮らし)

玄関を入った瞬間に、空気の違和感を感じる状態。室内は閉め切り、エアコンをつけているのに何となくジメっとしている。何十年も時が止まったように昔のモノが蓄積し、洗面台や浴槽はカビだらけ。椅子に座るとじっとりした感覚と、次第にチクチクとかゆくなる不衛生な状態。

何度か訪問するたびに、それとなく「断捨離・片づけ・掃除」の話題をしていたところ、徐々に自発的に片付けを始めるようになりました。訪問するたびに、男性自身も「空気が変わった」と感じるレベルにまで変化。日に日にご本人の表情がイキイキとされていたのが印象的でした。

ケース②:体に現われた異変(20代女性一人暮らし)

顔は青白く、昼間はあくびが止まらない。いつも服にシワがあり、近づくと何となく湿度とカビのニオイを感じる。いつも肌をかゆがっていて、無意識に顔や腕をかいていた。

ある日「掃除とか換気はどんな感じでしてるの?」と聞いてみると、「カーテンも窓もまったく開けない」とのこと。毎晩夜中までスマホやゲームに夢中になっていると、朝の新しいエネルギーが湧かなくなるのかもしれません。

いきなり掃除ができなくても、まず朝起きたらカーテンと窓を全開にしてみることを提案。かゆみの原因は、換気が不十分なために室内に蓄積したホコリや汚染物質、湿気が原因だったのかもしれません。


換気の方法

換気が家や人に与える影響は大きいですね。ここから、換気の具体的な方法を6つご紹介します。どれもわが家で実践中で、梅雨の時期でもカビとは無縁で快適に過ごしています。

ポイントは、「給気(外から入る空気)と排気(外へ出す空気)をセットで行う」という点です。

  • 【重要】朝起きたらカーテンと窓を開ける
  • 浴室・洗面・トイレは24時間換気
  • サーキュレーター・扇風機・換気扇を使う
  • 空気清浄機を使う
  • 靴は乾かしてから片づける
  • 料理中+料理後5分は換気扇を使う
  • 番外編:引っ越しする


【重要】朝起きたらカーテンと窓を開ける

朝起きたらすべてのカーテンと窓を開け、新しい空気をたっぷり取り込みます。もっとも重要な換気の基本習慣です。窓が1ヶ所しかない場合は、窓開けと同時に浴室やキッチンの換気扇をつけて、空気の流れを作ってみてください。

エアコン使用中でも、エアコンをつけたまま5分でもいいので窓を開けます。その後、在宅中は1時間に1回、就寝前にも5分窓を開けて換気すると、寝室の二酸化炭素濃度が下がり、快適な睡眠につながります。

この習慣がなかった人は、習慣化するまでスマホカレンダーで通知設定をして、毎朝起きてすぐと夜寝る前に換気する習慣を身につけます。カレンダーや冷蔵庫の貼紙に「換気」と書いておくのもおススメです。

浴室・洗面・トイレは24時間換気

家の中で湿度がもっとも高くなる浴室・洗面・トイレは、24時間換気扇をつけておきます。最近では、24時間換気システムがついているので、常にオンにしておきます。

水回りに換気扇がない場合、防犯面に注意しながら在宅中は窓を開けておくか、使う度にしばらく窓を開けておく工夫が必要です。特に入浴後は、浴室が乾くまで湿度に注意しましょう。

外から湿度が入る梅雨時期は、除湿機又は除湿機能付空気清浄機を洗面付近に置いておくのも効果的です。

エアコン使用中も、基本的に水回りは24時間換気がおススメです。冷気の漏れが気になる場合、室内扉や洗面室の扉を閉めて対策するといいと思います。

サーキュレーター・扇風機・換気扇を使う

夏場や梅雨時期はエアコンと併用して、サーキュレーターなどを使って空気を循環させるのも効果的です。室内干しの洗濯物が早く乾きます。

エアコンの涼しい風を浴びたいときは扇風機、宅内全体の空気を循環させたい場合はサーキュレーターが適しています。

ただし、これらは外気を取り込むわけではないので、適時窓を開けて給気+換気扇を使って排気、又は24時間換気システムを活用しましょう。

空気清浄機を使う

今の空気清浄機はとても高性能。除湿&加湿機能付がおすすめです。室内の湿度を自動で感知し、梅雨時期でもフル稼働で除湿&空気清浄してくれます。

リビングに1台、できれば寝室や各部屋にも1台ずつ設置しましょう。わが家でも長年愛用中で、10年に一度くらいの頻度で新しく買い替えています。

空気中の汚染物資やニオイを瞬時にキャッチし、キレイにしてくれます(2mほど離れた場所でおならをしても、即時「ニオイ」ランプが点灯しフル稼働します)。

空気清浄機自体のメンテナンスとして、①週1回はフィルターのホコリを掃除機で吸う・水洗いする、②除湿タンクの水を捨てる、③加湿タンクの水給水などが必要です。

これも外気を取り込むわけではないので、適時窓や給気口を開けて外気を取り込みましょう。

靴は乾かしてから片づける

靴を履いた後は、靴の中に汗や湿気が溜まっています。脱いだ靴をすぐに収納すると、汗から雑菌が繁殖し、ニオイがこもる原因になります。

脱いだ靴はベランダか玄関でしばらく乾かします(1時間~)。雨の日や土汚れがひどいときは、靴の裏をブラシなどで軽く水洗いしてから、ベランダに吊るすか立てて乾かします。洗える靴なら、防臭抗菌のために月に1度は洗いましょう。

革靴やパンプス、スニーカーなどの通気性の低い靴を収納する際は、靴の中に「炭」を入れておくのもおススメです。百均でいろんな「靴用の炭」商品があり、防臭・除湿効果があり繰り返し使えて便利です。

靴の収納場所に扉がついている場合、朝晩扉を最低30分以上全開にして換気すると、ニオイや湿気がこもりにくくなります。わが家では、日中基本的にシューズクローゼットの扉を全開にしています。収納場所の角に消臭効果の高い「炭の除湿剤」を置いておくと、より効果的です。

料理中+料理後5分は換気扇を使う

短時間であっても、火やオーブンを使うときは必ず換気扇を使うようにしましょう。特に、肉・魚・炒め物は煙やニオイも出やすく残りやすいので、料理後も5分位まわし続けるとニオイ予防に効果的です。

料理の後、汚れが固着して取れなくなる前に、キッチンペーパーと洗剤でサッとコンロ周りを拭いておきます。

換気扇の掃除は「大掃除リスト」にまわされがちですが、普段から使った後にサッと拭くだけで、汚れの固着を大幅に防ぐことができます。習慣になれば、手間も時間もほとんどかかりません。

番外編:引っ越しする

ここからは番外編。家の周辺環境や物件の状況によっては、引っ越しを検討するのもひとつです。

換気しづらい原因となりうる周辺環境、例えば、幹線道路・工場・飲食店・アレルギー性の植物・池などが近くにある場合です。

物件の特性としては、風の通りが悪い立地・構造・間取り、設備の不備、築年数の古さなどが、換気しづらい原因になることがあります。もちろん、持ち家であったり、家族や仕事の都合で転居が難しい場合もあると思います。

住まいと自分自身にとって、何が一番大事で何を譲れないのか、何に困っていて何を妥協できるかを明確にしてみるといいかもしれません。


まとめ

今回は、今すぐにできる換気の具体的な方法を6つご紹介しました。

家庭や職場の「空気が悪い」ことは、そこに居る人たちにとって良い状態ではありません。目に見えないからこそ、日々意識的に「いい空気」にしていく工夫をすることが大事です。

快晴の日に森林浴をしながらイライラするのが難しいように、24時間365日休まずに呼吸している私たちにとって「いい空気」はとても大きな影響を与えます。

いい空気に包まれて毎日ごきげんに過ごすために、今日からできそうな換気の習慣を1つ取り入れてみてください。何か、良い変化が生まれるかもしれません。

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