「掃除ができない、片づけられない」本当の原因②

掃除マインド

以前、「掃除ができない、片づけられない」本当の原因①という記事で、7つの視点から記事を書きました。同じような悩みを抱える方は多いので、1つは当てはまるものがあったかもしれません。今回はその続編として、「掃除ができない、片づけられない」原因を5つの別の視点から考察します。今回も総論的なお話ですが、ゆくゆく各論についても発信したいと思います。「これ、私に当てはまるかも?」と感じるポイントがありましたら、ご自身と向き合い、ご自身を知るきっかけにしていただけると幸いです。



掃除や片づけができない5つの視点

①不安、恐れがある

失うことへの強烈な恐れ、不安がある場合、モノを処分することを躊躇してしまいます。「いつか必要になったとき、困るんじゃないか」という未来の不安が襲います。あっても邪魔にならない(と本人は思っている)し、捨てなくてもいいかと判断し、何十年も一緒に暮らすことになります。特に、戦時・戦後を生き抜いてこられた世代の方に顕著ですが、「モノを大切にすること=捨てないこと」といった価値観が強いように感じます。捨ててしまうなんて罰当たり、大切に一生持ち続けることに価値があると感じていれば、モノを処分することは容易ではありません。

貧困、別れ、喪失、そういった恐怖や悲しみを経験された方にとって、あらゆるモノは、心の渇望感・不安感を一瞬で満たしてくれることがあります。お金さえ払えば、簡単に満たされるのです。かつて私も、辛い別れや生活苦を経験したことがあります。「来月から、まともに食べていけないかもしれない」といった状況は、心身を追い詰めます。にもかかわらず、なぜかモノだけは家に沢山ある。今思い出しても不思議です。

不安や喪失感を感じている状態の人に対して「あなたは大丈夫」という他人の言葉は、響かないことがあります。本人が「私は大丈夫ではない」と強く信じている場合、誰に何を言われても大丈夫だと思えません。不安や喪失感を癒していくためには、その本質的な原因(あらゆる出来事、要素、環境)を紐解き、様々な要因が重なって今があるということをしっかり受け止める必要があります。たった1つの出来事で、今があるのではありません。

目の前のこのモノを失うことが、それほど苦痛なのであれば、「これを失うのがとても恐い」と認めてみる。その背後に、どんな出来事や感情があるのか、時間をかけてじっくり自分と向き合ってみて下さい。ネットの情報や外に答えはありません。あなたのこれまでの経験が、今のあなた自身を作っているのです。

②未消化の感情がある

不安や恐れに関連して、ほかに未消化の強い感情がある場合も、掃除や片づけは後まわしになりがちです。例えば、離別したパートナーとの思い出のモノ、事業をしていた頃のモノ、学生時代の思い出のモノ、どれもかけがえのない大切な思い出とリンクして、手放すことが難しいですよね。「あの頃の思い出」を捨ててしまうように感じてしまうからです。もちろん、思い出のモノを処分しても思い出は残ります。大切であればあるほど、最期の瞬間まで思い出すのではないでしょうか。

私は、そんなかけがえのない思い出作りこそが、人生の本質だと感じています。「何のために生きているのか?」という究極の問いに対しては、「いろんな思い出作りをするため」という答えを、自分自身に対して持っています。あの頃もっとこうしておけばよかった、あんなことしなければよかった、そんな後悔や反省を繰り返しながらも、「あれは最高だった」と感じる思い出を1つ1つ大切に生きていく。そんな人生にしたいと思っています。

未消化の感情がどんなものか、一人で見つけることはとても難しいです。人と出会い、会話し、心身で何かを感じながら発見していくことができます。専門家はもちろん、友人やパートナー、家族との対話を通じて、自ら気づいていくことができます。そしれ、どんな専門家やパートナーと出会うかもとても重要です。一番大事なことは、未消化の感情に気づいたとき、それを誤魔化さないこと。封印しないことです。「あ、本当は私あのとき寂しかったんだ。今でもそれを怒ってるんだ」と、自分のありのままの感情をそのまま受け取ることが大事です。それだけで、その感情は少しずつ癒されていきます。代わりのモノをかき集める必要もなくなっていきます。

③自尊心が十分に育まれていない

自尊心は、「自分を大事に尊重する姿勢」と言い換えることもできます。自分の存在価値をモノに投影していると、そのモノこそが自分を証明する価値だと感じてしまいます。過去の栄光(表彰、ユニフォーム、グッズなど)、お金を貯めて買った高価なブランド品、もしもそれらを失うことが身を切られるように感じるなら、自分の価値を他者の判断に委ねてしまっているのかもしれません。

多くの人は、それほど他人の持ち物に関心がありません。何を持っているから凄いとか、どんな家に住んでいるから羨ましいとか、そいう目線を重視する人も居ますが、私はまったく関心がありません。逆に、外見や家、車が派手であればあるほど警戒心を感じ、近寄らないようにしてしまいます。もちろんこれは、人それぞれの価値観による違いです。私自身の経験では、自分を大事にすればするほど自然と他人も大事にするようになり、いろんな意味で「より自然体に近い状態の人」を好むようになりました。

自分を大事にすることができず、何か別のモノで穴埋めをしようとしていると、同じような人が周りに集まります。その弱みにつけ込んで、詐欺や悪質な勧誘のターゲットにされることもあります。自分を大事にすることは、生きていく上ですべての出発点でありながらも、誰もが簡単にできることではありません。例えば、親から十分な愛情を受け取れなかった場合、自分を大事にできるようになるためには時間、忍耐、知恵が必要です。自分のことを大事にしていない、できないなと感じた場合、まずはそのことを今日発見できた自分を褒めてあげてください。あなたの幸せを一番に願っているのは、あなた自身です。

④孤独を感じている、孤立している

寂しいからモノを集める、というのはよく聞きます。心の隙間をモノで埋めるというのは、ある意味とても自然です。1日中誰とも会話せず、何も言葉を発せず、感動もせずに生きる。想像するだけで気分が少し落ち込みます。たった一言でも、「こんにちは」「今日も暖かいですね」という会話を交わす人がいるだけで、気分は変わります。驚いたり、怒ったり、笑ったり、泣いたり、喜んだり、悲しんだり、そいった感情や経験が、私達の心身をイキイキとさせてくれます。

かつて、心身の疲れが原因で1ヶ月以上誰とも会わず、会話もしなかった時期があります。たった1ヶ月ほどで、心身が日々底へ沈んでいく感覚がありました。食事に気を遣わなくなり、朝からお酒を飲み、家から出ず、グダグダとした怠惰な時間を過ごしました。次第にイライラし始め、他責の念に囚われ、自分がどんどんダメになっていくのが分かりました。当時の家の状態はどうだったかというと、ご想像通りモノが散らかり掃除もおそろかになり、住まいの生気を完全に失っていました。今ではお酒も辞めて、運動習慣もあり、心身がとても健康な状態で「良い孤独時間」を楽しめます。

今の時代、ご近所さんに声をかけることさえも躊躇してしまうことがあります。良かれと思った配慮が「余計なお世話」と批判され、孤立を深めてしまうこともあります。それでも、今の時代だからこそ、時代の流れに逆らわずに人と関わる方法を探していけるはずです。誰もが本来孤独であることを前提に、孤立の中に小さな繋がりを持つこともできると思うのです。老若男女問わず、世代や性別を超えて関わり合うことの大切さ、おもしろさを、みんなの知恵と経験を持ち寄って作っていけたらいいなと思います。

⑤発達特性がある

発達特性については、前回の記事でもお伝えした通り、深掘りはしません。私は専門化ではないので、発達特性の自覚がある方は、専門書で学んだり、専門家のサポートを受けることをおススメします。発達の特性は、多かれ少なかれすべての人にある個性だと思っています。ただ、その特性が原因で生きづらさを感じているのであれば、ぜひ専門的なサポートを検討してみてください。

ADHD傾向にある方は、掃除や片づけが苦手なことが多いと言われます。私の身近にもADHD傾向の人がいるので、確かにそういった特性はあるかもしれないと感じます。誰もが得意・不得意を持っていて、誰かが当たり前にできることを自分は全くできない、ということがあります。逆もまた然りです。それは優劣ではなく、個性の違いによるものです。私は掃除や片づけが得意で好きですが、弁論や機械操作はとても苦手です。台本があっても、取説を読んでも、全然うまくできません(脳が拒絶します)。感覚で生きてきた深海魚が、私は自由に空を飛べない!と嘆く必要はないのです。

大事なことは、ある物事をできる人がいればできない人も居て当然だということを、改めて受け入れることです。もちろん、「これが好き!だからもっとできるよになりたい!!」と言った健全な動機付けから努力を重ねることは大切です。好きでもなく、やりたくもないことを、無理にできるようになる必要はないということです。ただし、最低限の衣食住を整えていく必要はあります。そこは人の知恵や力を借りて、互いに助け合っていけばいいと私は思います。



あなたの信念にヒントがある

もしもあなたが、掃除や片づけが苦手だとしたら、今日ご紹介した5つの視点でご自身と向き合ってみてください。あくまで可能性の1つに過ぎず、唯一の1つの正解があるわけではありません。いろんな要因があって、今があるだけです。「私は昔から〇〇で、それは今後も変わるはずがない」という強い信念を持っている場合、その〇〇にこそヒントがあるかもしれません。その信念は、今のあなたを幸せにして満たしてくれますか?

これからあなたの価値観や視点が広がって、最高の経験や思い出が増えますように。心から願っています。

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