「どうやったら家を綺麗にできるか」という答えを探し続けていませんか?「この洗剤があれば」「この掃除機があれば」「このテクニックを使えば」と、魔法のような言葉に踊らされてしまう人は少なくありません。もし、片づかない汚れた部屋に不満を感じていて、「もっと〇〇しなければならない」と意思や理屈で行動を変えようとしているなら、今日ご紹介する「掃除テクニックよりも大事な7つの習慣」を参考にしてみてください。自分を責めなくても、自然と住まいが整い始めるきっかけになれば嬉しいです。
自宅以外の快適な空間を体験する
生まれた時から動物園で安心安全に育った動物達は、広い世界で日々命がけで走り回る野生の動物達の暮らしを知りません。学校を卒業し、1つの企業で長く働いている人は、転職やフリーランスという生き方を体感的に知りません。幼い頃から不衛生で乱雑な家で暮らしてきた人は、整理整頓された清潔で快適な住まいで暮らす感覚を知りません。どちらが良い・悪い、幸せ・不幸せかという話ではなく、自分とは違う環境に生きている存在がいることは知っていても、実際に自分が体験していなければ、本当の意味では知らないのと同じということです。
安全、安心、自由、挑戦、平穏、いろんな価値観がある中で、自分にとって大事な価値観を叶えられる暮らしなら、とても大きな満足感を得られます。自然に、生活や住まいは整います。もしも今、住まいが乱れ、汚れ、モノで溢れているなら、あなたにとって大事な価値観とは何かを再確認してみて下さい。少し高いかな?と感じるホテルや旅館へ泊りに行ったり、美術館へ行ったり、オープンハウスや賃貸物件を内見したり、綺麗好きな友人宅を訪ねてみることで、今の自宅には無い新しい価値観に触れることができます。「なんだかすごく気持ちいい、心地いい」と体で感じることで、思考や理屈ではない強烈な「実体験」を体得できます。
自分の感覚・感情を感じきる
自宅以外で快適な空間を体験したら、そこで感じる感覚・感情をしっかりと感じてみましょう。「これを買えば〇〇」「どうせ自分には〇〇」などとあれこれ頭で考えるのではなく、見たままを感じたままを体で感じることが大切です。なぜこの「感覚・感情を感じきる」ことが大切かというと、現代の情報社会・SNS社会では、じっくりと静かに内省する機会がとても少ないからです。ほんの少しの隙間時間、移動時間、待ち時間さえあれば、眉間にシワを寄せてスマホにクギ付けになっている人がたくさんいます。重要でも必要でもない情報を四六時中取り入れることで、日々の貴重な時間を費やしてしまっているのです。
だからこそ、それらの情報を意識的に遮断し、「今の自分」に全意識を集中させる時間が必要です。自分を取り戻す時間とも言えるかもしれません。「美味しい、嬉しい、悔しい、悲しい、楽しい、腹が立つ、感動する」どんな感情でもいいので、それを1つ1つ拾って感じること。尊重してあげることです。そうすれば、本当は欲しくもないモノを買ってしまったり、本当は興味が無い人に振り回されたり、本当は好きでもない物を食べることもなくなります。無用にスマホを触ってしまいそうになったときは、今この瞬間の自分の感覚にフォーカスしてみてください。何かを誤魔化そう、見ないようにしようと思っていませんか?それは、自分自身の中に感じていた孤独、不安、寂しさかもしれません。
心身の状態に注意を払う
どんな感覚・感情も感じられるようになったら、自分の状態や変化を注意深く見守りましょう。一見お掃除習慣とは関係がなさそうですが、自分自身の変化に気がつけない状態では、部屋の乱れや汚れにも気づくことができません。視界に入るモノを通じて、私達の脳に「汚れている、散らかっている」というメッセージが届くので、厳密には気づいているのですが、一瞬で無意識の層へと追いやられてしまいます。私達の脳は、意識したものに集中し、意識していないことや不都合な情報は入ってこない又は無意識へと追いやられてしまうのです。
「今日はしんどいな」「睡眠不足で眠たいな」「便秘が続いてるな」「目の下のクマが目立つな」「イライラしてるな」そういった状態に、誰よりも自分自身で気づいてあげてください。まずは気づいてあげる、それだけでも十分です。強い不快感や痛みを伴うのでなければ、すぐに対処方法を考えなくても大丈夫です。誤魔化したり、正当化したり、理屈で自分を説得しようとすると、いろんな不調や不本意な出来事が続きます。心身は、私達が思っている以上に正直です。小さな違和感を感じたら、「なんだか変な感じがするね。おかしいね」と自分と対話してみましょう。そういった直感は、今の環境や行動の異変を、正確に知らせてくれるものであることが多いのです。
変わることへの恐れや葛藤を受け入れる
人間は習慣の生き物なので、今までと同じが心地いいし、変化はできるだけしたくないと感じています。一見嬉しいライフイベント(結婚、転居、転職、昇級、お祝いの会など)も、ストレス指数の研究調査機関の研究によると、高いストレスを感じるイベントであることがわかります。一方で、程良いストレスは、健全に生きていくためには必要とも言われます。
例えば、今の職場で強いストレスを感じている場合(職場環境、業務内容、企業文化、人間関係)、転職するという選択肢をすぐに受け入れられる人と、そうでない人がいます。受け入れられないもっともな理由は、いくらでも用意することができます。私はこれまで何度か転職していますが、一度も転職を後悔したことはありません。慣れるまではストレスを多く感じますが、毎回年収はアップし、スキルや人間関係も広がりました。
仕事でも、スキルでも、人間関係でも、モノでも、自分が欲しい何かを得るためには、今持っている他の何かを手放す必要があります。両手が塞がった状態で、さらにつかみ取ることはできないのです。もう必要なくなったものを手放すときの痛み(現実ではなく頭の中の痛み)を受け入れて初めて、今までは無かったスペースが生まれます。新しいスペースをすぐに何かで埋めてしまうのではなく、まずは空いた痛み・虚しさ・悲しさを受け入れてみることで、自分の中の執着心や想いを知ることができます。これは、仕事、人間関係、モノ、どんなことにも共通しています。
古い習慣を1つ捨てる
怖いけれどやってみよう、そんなふうに変化を受け入れられるようになったら、まずは1つ不要になった「古い習慣」を捨ててみましょう。例えば、毎日晩酌をする、毎日夕飯の後にお菓子を食べる、用事も無いのにスマホを触る、楽しくないのに友人と会う、ジャンクフードをよく食べる、ストレス発散のために高価な買い物をする、自分を大事にしない人に執着する、などです。
これらに共通することは、どれも一時的な快楽を伴うということ。食べたり飲んだり、見たり会ったり、買った瞬間は高揚感で快楽を感じるけれど、一瞬で消えてしまいます。数年先も忘れないような、特別な感動は残らないことがほとんどです。今までやってきたからといって、今現在やこれから先も必要で重要なこととは限りません。むしろ、環境や自分自身が変化していれは、必要な習慣も変化していて当然です。
お金、時間、体力、心身を何にどう使うか、毎日たった数分、たった数百円でも、数年経てばどれくらい消費するのかを、一度考えてみてください。その古い習慣から得られるものが、どれだけ今の自分にとって価値あるものかを振り返り、「必要なし」と判断すれば、その判断を尊重して行動してみましょう。
新しい習慣を1つ身につける
1つの不要な習慣を手放すと、そこに空白が生じます。時間、お金、心身に、今までなかったゆとりが生まれます。急いで何か埋め合わせをしようとしてしまいますが、まずはこのゆとりをそのままにしておきます。すると、仕事や家事にもゆとりが広がることが分かります。休憩時間になると急いで喫煙所へ行っていた人、休日になると朝から買物へ行っていた人、夕飯の時間が待ちきれず帰宅途中で缶チューハイを飲んでいた人は、その慌ただしい日常のストレスが消えていきます。
しばらくすると、今まで気にもとめなかったことが気になるようになるかもしれません。肌のツヤ、髪の乾燥、歯の着色、体の痛み、古い洋服、くたびれた靴など、今まで気づかなかったことに気づき始めたら、新しい習慣を取り入れるチャンスです。例えば、毎日10分読書をする、週に1品新しい料理にチャレンジする、月に1回靴や服を断捨離する、1ヶ月に1回美容院でヘアケアをする、3ヶ月に1回歯科でクリーニングする、季節ごとに基礎化粧品を見直す、年に1度は必ず人間ドックを受ける、といったことです。
古い習慣を手放したことで、今まで考えもしなかった新しい習慣と出会うことができます。「手放すから、入ってくる」、ぜひこれを覚えていただきたいと思います。
習慣化するためのツールを活用する
最後に、新しい行動を習慣化するためのツール活用法についてご紹介します。手書き、デジタル、それぞれに良さがあるので、どちらも試しながら最終的にぴったりなツールを選ばれるのがいいと思います。どちらも基本的な活用方法は同じです。
まず、新しい行動を習慣化するためには、内容や個人差にもよりますが、最低でも3週間はかかります。そこでまずは「1ヶ月続ける」ことを目標に、今日から1ヶ月間の予定表に習慣化したいリストを書き込んでみましょう。ポイントは、1日にいくつもリストを入れないことと、予備日を設けておくことです。予備日とは、リストができなかったときために設けておく空白日です。例えば「平日は読書を10分する」「日曜日は断捨離をする」「休日は30分ウォーキングする」「週に1回新しい料理に挑戦する」と決めたら、予定表やカレンダーにリストを書き込みます(例:□読書10分、□断捨離、□30分歩く、□新料理)。できる限りその日に完了させるようにし、完了したら☑を入れます。
1ヶ月が経ったら、必ず振り返りの時間を取りましょう。どれくらいできたか、できなかった原因は何か、頻度は適切か、どうすれば楽しく無理なく続けられそうか、軌道修正をしながら翌月1ヶ月分の計画を予定表に書き込みます。予定表は毎日見る必要があるため、小さな手帳、スマホ、ルーズリーフ、カレンダーなど何でもOKです。ネットや大型文具店に沢山種類があるので、いろいろ研究してみるのも楽しいですよ。とてもシンプルな方法ですが、継続して習慣にするというのは、1日・2日でできることではありません。だからこそ、習慣化したときの変化は、自分でも想像できないほど嬉しい驚きのものだったりします。
今回の記事で、何か1つでもお役にたてそうなことがあれば嬉しいです。
良い習慣を身につけて、より穏やかで快適な暮らしにしていきましょう。
